想いを受け継ぐ。

ジュリアンが居た樹には、彼が使っていたリュートが立てかけられていた。
主人があるべき場所へ還り、その役割を終えたからだろうか。
弦は切れ、ボロボロになっている。

「これは、ワシが預かろう」

手に取りながら、皆に言う。

「修理をして弦を張れば、まだまだ使えるじゃろう。
 それに、このリュートには、
 数百年歌い続けたジュリアンの想いが込められておる。
 このまま墓標として朽ち果てさせるより、
 ジュリアンの代わりに広い世界を見せてやりたいでの」

先の遺跡探索の際、魔術師の亡霊の遺品である黒水晶を持ち出した時の
トロンの気持ちが、少し分かった気がした。
そしてジュリアンのリュートを一度置き、自分のリュートを取り出す。
微かな記憶を頼りに、歌う。

 "母なる大地の子らは

 大いなる自然の中で腰を下ろし

 歌を歌い続ける――― "

 "霧深き渓谷の底

 緑萌ゆる草原の床

 大地の子らは歌い続ける――― "

ひとしきり歌った後、誰に言うでもなく、呟く。

「ショーンとジュードが言ったように、語り継いで行かねばな...」

ジュリアンという詩人が居た事を。
偽りの楽園より、縛られた生より、魂の解放を求めた、
誇り高き翼の妖精と丘巨人達が居た事を...

―了―

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PLより:手短ですが本編〆の投稿です。
     ジュリアンのリュートはガラフが使わせて頂く流れに
     してしまいました!異議のある方どうもスミマセン。