日常への帰還

ガラフを助けあげたたくさんの腕を持つ巨人は
ヘカトンケイレスだと言う。

腕を無数に持つその姿は恐ろしいものだが
友好的な姿勢にすぐほっとなった。

「ガラフを助けてくれてありがとう」

彼に礼をいい、霧の中へ消える背を見送った。
あの古代人により縛られた彼もまた解放されたのだ。

楽園と言う名の墓所は、数百年を経てその罪をやっと注ぎ、
多くの命を本来あるべき姿へと戻していった。


私達を助けてくれた双子のフェザーフォルクもまた、
仲間を求めて山の彼方へと向かう。

「君達の行く末に、幸多かれ」

短い節回しと共に、祝福の歌を歌う。

彼らはどんな困難も乗り越えていくだろう。
あの父と母の 子供達なのだから。


「我々の先行者がピギーズの派遣した宝捜し隊だとしたら、
 その情報はどこから伝わったんだろうなあ」

誰に聞くともなくつぶやくが、だいたい予想はつく。
古文書か古い歌を聞きつけたかなにか、だろう。

どちらにしても、もう『宝』は無い。
あの箱庭が宝だとしても、もうからっぽなんだから。

私はルーシィから受け取った短刀を握り締めた。
私を傷つけたそれは、今度は私を護ってくれるだろう。
大切にせねば、な――。


そしてオランへの道へ至る。

ジェノはパムと再会し、望みを果たした。
ガラフはジュリアンのリュートを受け継ぎ、
『彼』と共に世界を巡るのだろう。
セリトとカーツの紅と白の毛皮を眺めながら――

――まあ、しょっぱなギクシャクしちまったが...

「リーダー、次はあんたのやりたいことを止めないことにしたよ」

セリトへ、そう告げた。

彼とパムがヘカトンケイルと飯を食っている姿を思い出し
ふと、私の想いも寄らない面白いところへ、
連れて行ってくれるのではないだろうか...と、そう思ったのだ。

根拠のない直感、なのだがな。
それはそれで、良いのではないかと思える自分もいるのだ。


人の縁とは、面白いものだ。

だから、結局――私は、彼らが好きなのだと改めて思うのだ。

「カーツ、私はもう少し、精霊と仲良くなってみたいと思う」

古代語魔法の使い手でもある彼女だ、
私がもう少し精霊と話せるようになれれば
彼女の負担も少しは軽くなるだろう。



顔を上げ、空を見上げた。



 "母なる大地の子らは

 大いなる自然の中で腰を下ろし

 歌を歌い続ける――― "

 "霧深き渓谷の底

 緑萌ゆる草原の床

 大地の子らは歌い続ける――― "


ガラフと共に、私も歌い継ごう。
ジュリアンの歌を。ルーシィの祈りを。

私の『銀月』としての始めての冒険の終わりに、
ほんの少し、感傷めいた気持ちをもって誓った。


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締め日記です!
ヘカトンさん知名度判定:Dice:2D6[4,6]+3=13
2足りなかったので、ジェノから教わったことにしました。

感想はまた後ほど投下しますー